ケノティズム

妄想メインです

ブラックホールは救われているか?

汎心論によれば、全てのものに源意識があるという。「我思う故に我あり」なんて洒落たことは言えないし思えないものばかりだけれど、したい事としたくない事ぐらいは基本的にはあるのだろう。だから「もの」は時間発展とともにエントロピーを増大させる。

(※実体の全ての粗視化に源意識がある、というと粗視化の程度次第で実体と関係なくなるので,「実体」に源意識がある,としたい.「実体」は宇宙終焉までおそらく未解明で、エントロピー増大は実体の欲求を粗視化したもの。)

 

さてこの妄想を極限に飛ばして試練を与えよう。ブラックホールは楽しいのだろうか、苦しいのだろうか。

ブラックホールは怠惰な富豪である説

ブラックホールの主観はほとんど止まっていて、楽しくも苦しくもないと思う。

なぜなら、ブラックホールは重力に従う者たちの悲願であるからだ.お互いを近づけるには様々な反発力を乗り越えなければならず,乗り越えた先もお互いの活動(熱運動)が互いを傷つけた.しかし光を閉じ込めるほどの結束力を得たことで,ようやく平穏が訪れたのだ.彼らは未だ存在するが,もう現世で彼らを苦しめるものは蒸発ぐらいしかない.あとはゆっくり,重力の天井に居る貧乏人たちを誘っていけばいい.考えることなどない.彼らの時間はほとんど停止している.

 

彼らは完全な正義なのだろうか.そうではないだろう.先に救われているだけだ.その救いは不完全であり,やがて面倒事に巻き込まれるだろう.小さなブラックホールは蒸発する速度が早く,やがて爆発してしまうらしい.富豪も貯蓄が減れば,破産は免れない.

 

エンパワーメント:知能とは何か?

小さなブラックホールは,将来的に知性体のエネルギー源として用いられるかもしれない.今にも爆発しそうな極小ブラックホールを制御するダイソン球とともに.彼らは広い宇宙を怠惰に見捨てたりしない.より早く宇宙を均質にしようと勤勉に計算を続ける.

金や情報や質量を蓄えるだけが知能ではない.賢く生きようとすることは,「物事をシンプルにしたい」という方向と,「割り切れない世界に身を置きたい」という方向の2つが必要なのだと,この未来像は語っているように思える.