ケノティズム

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大罪の構造(リゼロ考察、8章までのネタバレ含)

Re:ゼロから始める異世界生活(リゼロ)の自分の楽しみ方は、異世界の構造と歴史の設計を分析しながら、現実世界の考察につなげるというものだ。主人公スバルは自分と同様に、身の丈に合わないほど傲慢に世界を眺め、関わろうとしている。そんな主人公のストーリーから見える、様々なキャラクターの運命はリアリティある結末を迎える。自分が感じたリアリティの正体は何なのか。どのように傲慢に世界を捉えれば、運命を推測できるのだろうか。

リゼロでは6属性と9つの大罪がことあるごとにストーリーに関わってくる。6属性は四元素説の風・火・水・地の4つ+陽・陰の2つである。9つの大罪は、強欲・傲慢・虚飾・憤怒・色欲・暴食・嫉妬・怠惰・憂鬱である。はじめはRPGのキャラ設定のフレーバーに選ばれた古典要素かと思い、気に留めていなかった。しかしこれを深読みすると、傲慢に世界を捉えて運命を先読みする考え方につながりそうだ。

傲慢な世界の捉え方として、以前のエントリで、現実世界の根源的な2つの対立について紹介した。無矛盾と矛盾、0と無限、陽と陰、修羅とヤオイ強欲と嫉妬などは、それぞれの観点で、根源的な対立を引き継いでいると考えている。*1

6属性の一部である四元素は、根源的な2対立をさらに分類したものと考えると現代風の意味を持たせることができる。風・火を革新寄り、水・地を保守寄りと考え、さらにそれぞれを継続性で分類すると、根源的な戦略の分類として意味がありそう*2に思える。

さらに陽・陰の2つは戦略の成功度合いでの分類だと考えれば、先程の4つとは直交した2対立の軸になる。今後も成功するかは分からないので、当事者からは単純さを目指すか、複雑さを目指すかの戦略の違いに見えるだろう。

リゼロで6属性は魔法、マナの属性として紹介される。キャラごとに得意とする属性があり、四元素に対応する大精霊がいる。属性と性格、才能が関係しているような気がするし、四元素とリゼロに登場する4つの国家も対応があるように思える。キャラや集団の戦略の傾向が、先程の四元素と陰陽の解釈と一致するように属性が割り当てられているのかもしれない。

6属性から9つの大罪の構造が導かれるとすれば、リゼロのストーリーと現実世界をより理解できるかもしれない。四元素それぞれに陰陽の2方向を考え、風:(強欲↔色欲)、火:(傲慢↔暴食)、水:(虚飾↔嫉妬)、地:(憤怒↔怠惰)というように8つの大罪を割り当ててみる。残りの一つ、憂鬱は革新/保守の偏りがなく、中央に位置すると考える。強欲、傲慢、虚飾、憤怒は目標に向かって事態を支配しようとする欲求というイメージがあるし、色欲、暴食、嫉妬、怠惰は逆に新たな事態を招くことを許容する欲求というイメージがある。強欲と色欲は一時的な関係から利益を得て、傲慢と暴食は支配的な関係から利益を得るイメージで、虚飾と嫉妬は服従的な関係を維持し、憤怒と怠惰は固定的な関係を維持するイメージがある。このように8つの大罪を分類すれば、それらが根源的であり、四元素の観点でMECEであると言える。

憂鬱は陽を目指す偏りのない欲求だと考えるべきか、別の意味があるのか、まだよくわからない。前者なら逆に陰を目指す欲求として「希望の大罪」あるいは「油断の大罪」のようなものを考えてもよいかもしれない。

このアイデアは、8章でヴォラキア帝国民の価値観の違いが明らかになるにつれて、4つの国家と四元素が対応しているように思えたのがきっかけだ。エミリア以外の4人の候補者とも対応しているとすれば、大罪の権能とのつながりも分配されるように思え、今後のエミリア陣営の四面楚歌な局面につながりそうにも思える。それぞれの国で国柄を反映した葛藤の形があり、そのすべてを統べるストーリーが用意されているのかもしれない。

*1:こういった想像は検証しづらく、誤りを自浄できるとは限らないが、想像を極力シンプルに整理することで、反証可能に近づけておきたい。

*2:それぞれの分類ではっきりした性質の違いが見られれば、だが