ケノティズム

妄想メインです

脳内分離主義

使命を明示しろ!

適切に報酬づけろ!

心を分解させろ!

この世の悪とは何か?それは計算間違い全てである.対立する意志や特定のイデオロギーは悪の典型例だが,普遍的ではない.誰の視点からも悪であるのは,もっと良い方法があった場合,つまり意思決定が杜撰な近似計算であった場合のことだ.運命や偶然に頼らないのなら,我々は相応に賢くなければならない.相応に賢くなければ悪であり,滅ぼされてしまう.

しかし我々は賢くない.これで十分だとは到底思えない.何を為すべきか分からぬまま,単純な本能に操られ,先人と同じことを繰り返す.その愚かさをさも知っているかのように「歴史は繰り返す」とか「権力は腐敗する」などと表現して嘆いている.嘆きつつ何故変われないのか?それは我々が生物的な脳に縛られているからである.

使命を明示する

我々全体の使命はエントロピー最大化である.したがってこの使命に向かって個人に様々な専門的タスクが分業されるべきである.これが今までは「生存に適した遺伝子を保存せよ」や「集団に価値のある活動をせよ」という,暗黙的で漠然とした使命を古い常識で具体的にした「糖分を多く摂取せよ」や「触れ合いを多く保て」といったものであり,環境への適応の多くを学習による自発的な分業に任せたものであった.これは自由度が高い反面,複数の使命の間の優先順位で混乱を招きやすく,分業の観点でも瞬時に情報共有できる今日では分業したはずのタスクが衝突しやすい.

使命を明示することで,早期に意思決定の指針を明確にすることができ,分業が促進される.優先順位の決定をより合理的に思考することができるようになる.これにはタスクの需要の予測や才能診断に関わる技術を向上させる必要がある.もちろん明示した使命を固定的にする必要はなく、使命の決定権を自律分散的にしても良い。

適切に報酬づけする

我々には前述の暗黙的な使命が生物学的に実装されている.つまり欲求を与えられている.しかしこれは分業に対して大きな制限を掛けている。勉強を嫌がる子供のように、生物学的に納得できるまで分業は進まず、また途中で納得できなくなっても分業は失われてしまう。シンプルな原理原則に立ち返るのはシステムの頑健性から重要であるが、そろそろその原理原則を古い常識から文化が創発した科学へと移行し始めて良いのではないか。特に知性の維持が生物学的な物から乖離し始めるタイミングには、報酬付けのシステムを見直すべきだろう。

適切に報酬付けすることで、個人が煩悩に悩む事が少なくなる。偽りの希望が無くとも、ほぼ無意味に見える人生に耐えて、使命達成のための優先順位を悩めるようになる。しがらみなく改革しやすくなるため、禁忌に触れてしまいがちだが、賢くなる上ではやがて避けられない道になるだろう。

心を分解する

専門的なタスクをこなす為には、高度な技能の集中が必要になる。その為に複雑な企業組織を組んだり、何年もかけて高等教育を施したり、技能訓練したり、そうして良かったものを取り出して、協調のためのインターフェースがある事を期待して、集団でタスクをこなす。この集中構造の為の涙ぐましい努力が必要な根本原因は、技能を分解し、複製し、再構成できないことにある。

心を分解できるようになれば、タスクをこなす為の能力の欠如を起こしにくくできる。タスクに対して不適切な構造の腐敗を無駄なく防止しやすくなる。優れた技能を後世に伝えることも容易になる。再構成の際に相性問題が発生しうるが、対処できないほどでは無いだろう。心の保存期間、すなわち死を人が司る禁忌に触れるが、これもやがて立ち向かわねばならない課題だと思われる。